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乾燥風による乳白粒発生のメカニズム

2013年07月17日

乾燥風による乳白粒発生のメカニズム

近年、水稲登熟期の不良気象条件による玄米品質低下が頻発しています。2007年には南九州産の早期水稲で、登熟前半の日照不足とその直後の台風に伴う高温乾燥風(フェーン)で乳白粒が大量に発生しました。

乳白粒の発生メカニズムとして一般に登熟期の同化産物不足が指摘されていますが、高温乾燥風による乳白粒発生のメカニズムは明らかになっていません。そこで、高温乾燥風が玄米に白濁部を形成するメカニズムを解析しました。
成長中の玄米胚乳細胞内の水分状態を計測するシステム(セルプレッシャープローブ法)を用い、高温乾燥風が登熟期の水稲に当たると、胚乳細胞の膨圧が維持されて浸透圧が高まることを明らかにしました。このことから、胚乳細胞内では脱水・萎凋・成長抑制を避けるために浸透調節機能が働いており、この機能により糖濃度が増加する一方でデンプン集積が阻害されて白濁する、というメカニズムが働いていることが強く示唆されました。
(水稲高温障害対策プロジェクト)

論文等:
1)Wada H., Nonami H., Yabuoshi Y., Maruyama A., Tanaka A., Wakamatsu K., Sumi T., Wakiyama Y.,
  Ohuchida M., and Morita S., (2011) Increased Ring-Shaped Chalkiness and Osmotic Adjustment
  when Growing Rice Grains under Foehn-Induced Dry Wind Condition. Crop Science 51: 1703-1715.
2)和田博史(2013)米の外観品質・食味研究の最前線 [22]フェーンによる乳白粒発生メカニズム:新たな水分
  状態計測手法の活用による機構解明. 農業および園芸 88(2): 242-251.

国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構 地球温暖化と農林水産業 農業温暖化ネット